「むくみ」とは
むくみとは、血管中の水分が血管外へと浸みだし、皮膚や皮膚の下に異常な水分が溜まった状態のことを指します。
慣れない立ち仕事をしたときに足がむくんだ、お酒を飲み過ぎて翌日顔がむくんだといったことは、多くの方が一度は経験しているのではないでしょうか。一時的なむくみであれば基本的には心配ありませんが、むくみが慢性化した場合には、何らかの疾患を原因としていることも考えられるため、受診が必要です。
むくみが続いている方、ひどいむくみが気になるというときには、函館クリニックにご相談ください。
むくみの症状チェック
このような症状はありませんか?
- 手足が冷たい
- 肩こり、首の痛みがある
- よく頭痛がする
- 手や足にむくみがある
- 疲れやすい、倦怠感がある
- めまい、立ちくらみがある
- 足の痺れを感じることがある
- 頻尿
- 足がむくんで思い感じがする
このような生活習慣に
心当たりはありませんか?
- 同じ姿勢で過ごすことが多い
(デスクワーク、立ち仕事など) - 運動不足
- ストレスを抱えやすい
- 疲れても休めない
- 脂っこいものが好き
- 甘いものが好き
- 食事の時間が不規則
- 食事を抜くことがある
- アルコールをよく飲む
足でむくみを確認する方法
足の脛を、指の腹で5秒間押してみます。
指を離したとき、皮膚が10秒以上へこんだままである場合、むくみと判定されます(通常はすぐにへこみが解消されます)。
むくみは一般的に夕方以降の時間帯にひどくなるため、朝と夜で二度、チェックしてみてください。どちらかでむくみが認められる場合には、お早めに当院にご相談ください。
一過性のむくみの原因
同じ姿勢を
長時間とっている
座っていても立っていても、長時間同じ姿勢が続くと、むくみを引き起こす原因になります。
下肢にたまった血液を心臓へと戻すポンプ機能が、同じ姿勢であることで十分に働かなくなるためです。
運動不足・無理なダイエット
筋力不足
運動不足や食事を抜くだけの無理なダイエットは、筋力の低下を招きます。特にふくらはぎの筋力が低下すると、下肢の血液を心臓へと戻すポンプ機能も低下してしまい、むくみの原因になります。
塩分の摂りすぎ
塩分を摂りすぎると、余分な水分を適切に排泄することが難しくなり、むくみの原因になります。
アルコールの摂りすぎ
アルコールを飲みすぎると、血液の濃度が高くなります。濃くなった血液を薄めるため、血管は水分を摂り込むこととなり、むくみを引き起こす原因になります。
自律神経の乱れ
ストレス、生活リズムの乱れ、睡眠不足などによって自律神経が乱れることで、体温調節および発汗の機能が低下します。すると水分の代謝も低下するため、むくみの原因になることがあります。
冷え
冷えによって血液やリンパ液の流れが滞り、むくみを引き起こすことがあります。
妊娠・生理
(ホルモンバランスの乱れ)
妊娠や生理に伴いホルモンバランスが乱れると、余分な水分が体内に残りやすくなり、むくみの原因となることがあります。
慢性的なむくみ(浮腫)の
原因・疾患
慢性的なむくみの場合は、疾患を原因とするものが少なくありません。「いつものことだから」と甘く見ず、むくみが続くときにはお早めに当院にご相談ください。
全身性浮腫(下腿・足など
対側に現れるむくみ)
心臓病
(心不全・心負荷)
心臓の働きが低下することで、血液の循環が悪くなり、血管内に余分な水分が溜まることで、むくみを引き起こします。
腎臓病(腎不全)
腎臓の働きが低下すると、本来であれば排泄されるべき水分・塩分が排泄できなくなり、むくみを引き起こします。尿から多量のたんぱくが排泄され、血中のたんぱくが減少することが原因になることもあります。
肝臓病
肝硬変に伴い、むくみが生じることがあります(肝性浮腫)。多くは、腹水を伴います。
栄養障害
十分な食事を摂っていない、あるいは腸や肝臓の問題で血中のアルブミン値が低下すると、血管から水分が浸みだしやすくなり、むくみの原因となります。
薬剤性
副腎皮質ステロイド、非ステロイド抗炎症剤、カルシウム拮抗剤、ピオグリタゾンなどの副作用として、むくみが生じることがあります。
その他
甲状腺機能低下症、副腎皮質ホルモンの異常などの内分泌疾患、関節リウマチなども、むくみを引き起こすことがあります。
局所性浮腫
(左右差のあるむくみ)
下肢静脈瘤
脚の静脈が瘤(こぶ)のように盛り上がる病気です。静脈の弁の働きが障害され、血液が逆流することで発症します。脚のだるさなどの症状を伴いますが、見た目の上でも大きな問題が生じます。
深部静脈血栓症
脚の静脈に血栓が生じ、脚全体が赤く腫れます。病気・ケガの治療として長時間安静にしているとき、長時間乗り物に乗っているときなどに起こります。血栓が飛び肺の血管に詰まったものが、エコノミークラス症候群(肺塞栓症)であり、命にかかわる病状です。
リンパ浮腫
リンパの流れが悪くなることでむくみが生じる病気です。先天的にリンパ管の発達が悪いタイプと、手術・放射線治療によって起こるタイプに大別されます。
進行すると、皮膚が硬くなる「象皮病」という状態に移行します。
皮膚感染症
ケガ、巻き爪、水虫、湿疹、虫刺されなどをきっかけとして皮膚に菌が入り感染を起こし、むくみを引き起こすことがあります。
廃用性浮腫
脳卒中の後遺症、変形性膝関節症、関節リウマチ、脚のケガおよび術後などに下腿の筋力が低下するなどして発症するむくみです。
むくみの取り方
~即効解消法~
水分を摂る
水分を摂取し、かつ排泄することで、むくみの解消を図ることができます。血液やリンパ液の流れの改善にもつながります。もっとも簡単な解消方法と言えるでしょう。
意外と水分補給ができていないのが、デスクワークに従事する方々です。喉の渇きを感じる前に小まめに水分を摂取し、適度にトイレにも行きましょう。
ふくらはぎを使った運動をする
ふくらはぎの筋肉は、下肢の血液を心臓へと戻すポンプ機能を担っています。仕事中であっても、かかとの上げ下げの運動などを行い、ふくらはぎの筋肉を刺激しましょう。
また普段から適度な運動を行い、ふくらはぎの筋肉を鍛えておくことも大切です。
膝裏をマッサージする
膝の裏側には、リンパ管が集中しています。
片膝を立てた状態で、膝の裏側を指の腹で押します。「イタ気持ちいい」くらいで30秒ほどキープするマッサージを毎日継続します。
むくみの取れる食べ物を摂取する
むくみの解消に有効な食べ物を意識的に摂取しましょう。
特に、以下のような栄養素を含む食べ物がおすすめです。
カリウム
カリウムは、細胞内外の水分量を適切に調整してくれます。
以下のような食べ物を、できるだけ生で摂るとよいでしょう。煮る・茹でるといった加熱調理をすると、カリウムが溶けだしてしまうためです。
- 海藻
- 果物
- イモ類
- 豆類
- 肉類
- 魚介類
ビタミン
不足すると脚気になるビタミンB1に加えて、ビタミンB2、B6を意識的に摂取しましょう。身体の生理機能が整えられ、むくみの解消が期待できます。
ビタミンB1を多く含むもの
- 肉類
- 魚類
- 豆類
- 玄米、
ライ麦パン - ごま
- ナッツ
ビタミンB2を多く含むもの
- 肉類
- 魚介類
- チーズ、
ヨーグルト - 卵類
- 穀類
ビタミンB6を多く含むもの
- 肉類(特に牛・豚・鶏のレバー)
- 魚介類(特にマグロ・カツオ)
たんぱく質
たんぱく質は摂取後、水分を引き付ける性質を持つアルブミンへと変化します。
- 肉類
- 魚介類乳製品
- 卵類
- 大豆製品
病因によるむくみの治療方法
心臓病や腎臓病、下肢静脈瘤などの疾患を原因とする場合には、それぞれの疾患に応じた治療を行うことが最優先となります。
その上で、むくみを改善する利尿剤などを使った薬物療法、弾性ストッキングを用いた圧迫療法などを行います。加えて、ご自宅で毎日継続できるようなマッサージやストレッチの指導もいたします。
また生活習慣に改善の余地がある場合には、食習慣や運動習慣についてのアドバイスを行います。